食べて食べられて、私の中で混沌となり、すとんとうまれたものが周りに及ぼす影響などほんの微々たるものにすぎない。
けれども、未来をつくる土壌の一部であるならば一所懸命肥やし耕し次なる種を育てられる土でありたい。水でありたい。
珊瑚はおもに潮の流れが大きくなる大潮前後に卵を放ち、 なるべく少しでも遠くへ子孫を広げようと産卵する。 満月のやわらかな光に照らされて 幾億のいのちが波とたわむれ浮遊する光景は 息をするのも忘れるくらいうつくしい。 放たれたいのちは未知の世界へと旅立つ。 自分の意志など関係なく、波に連れられ 行き着けるかもわからない最初で最後の旅路。 幾億の生、幾億の死。 あっちでもこっちでも世界は生まれては消え 消えては生まれている。 だからこそ生まれる前の世界に思いを馳せ 死んだ後の世界に憂い無き様 今を真摯に生きなくては。

細胞は旅をする  Cells travel
直径500mm 2019年9月制作 キルト綿、モデリングペースト、胡粉ジェッソ、水干絵具、岩絵具
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Hope come from the sea
変形パネル 2018年5月制作 綿布、胡粉ジェッソ、アートグルー、岩絵具

うれしいことも かなしいことも 海からながれてやってきた 
新しいことも不可思議も 波にもまれてやってきた  いろんなものが岸をいっぱいにした。 
とおいきおく ちかいきおく いろんな命を尊重して この海と生きたい。 ただそれだけ。 
だからうめないでください。 存在しない線で隔てないでください。 毒を流さないでください。 
みらいが死んでしまうまえに
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breath
S20号× 2枚  2019-2020年制作  胡粉ジェッソ、アートグルー、岩絵具

今現在も埋められ続ける海や珊瑚たちは
 私であり あなたであり あなたである 
かつて、愛おしいことばたちは 冷たい石棺へ葬られた。
 その反省と謝罪はされてきたのだろうか。 
ラッパ吹きは柔らかくうつくしい手で  万色のことのはを摘み取る。 
善人共が群れを成し  大地に根ざした文化をみじんに破壊する。 
おのおのがいのちを抱きしめて、 過酷な時代を生きていかねば。
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個を捨て団塊になることを求められた世から 解き放たれ、 個と個がゆるゆるとつながる世界へ 
ほろほろとほぐれていく世界の中で しなやかでやわらかい世界が産声をあげる 
昔はよかったことが今では通用しなくなるというのは ごく当たり前のこと
いつまでも過去にしがみついて いると新陳代謝が滞り、未来に不具合をきたす 
みんな一緒じゃなくていい  自分は自分のままでいい 
長い時間をかけて自分に宿る種子を みつけて育てていけばいい 
滞った時間がやっとすこしずつ溶け出した  何かの崩壊は 何かの誕生を告げる

ほどけていく諸々 01
直径600mm  2021年9月制作  キルト綿、アートグルー、岩絵具
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いのちは混沌  かおり 煌めき 揺らめく 
世界は限りなく  世界は制御不能で  縦横無尽にひろがり  変幻自在に進化する 
苛烈で過酷  平等に無慈悲な世界  混沌は愛であふれている

ほどけていく諸々 02
直径600mm  2021年10月制作  キルト綿、発泡ウレタン、アートグルー、岩絵具
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沖縄の地に生きる。 負担軽減と言って米軍基地が変換されても 日米地位協定により米軍に返還後の土地の原状回復の義務はない。昨年世界自然遺産に登録された沖縄島北部 やんばるの森では今もなお北部訓練場返還跡地から 大量に廃棄された弾薬、手榴弾などが見つかっている。 自然遺産地域にほど近い東村高江の森ではオスプレイの ヘリパッドが建設され、振動、騒音さらには墜落の恐怖 に毎日晒されている。 基地近くの河川、浄水場の水がPFOS、PFOAなどの フォーエバーケミカルによって汚染されていることが 明らかになった。もはや基地はあらゆる生命を脅かす 存在でしかない。基地がないと平和が維持できないと おっしゃる方々にはどうぞ沖縄から基地をお引き取りください。 
私たちを自然は密接につながっている。 自然を蔑ろにすることは、自分を蔑ろにされているのと 同義であることに気がつかなくてはという思いから私たちのからだの奥にひろがる海、森を描こうと思った。

心音 sin-on
直径800mm  2022年1月制作  キルト綿、鹿膠、岩絵具
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私たちとあそこに見える海原はつながっている。 
海が傷めば私たちの傷になる。 海がざわつけば私たちはいてもたってもいられない。 
海を思うことは自分自身を思い、友たちを想うことなのだ。 
沈む基地をつくるために海が毎日毎日埋められている。 
この暴力による破壊は、自分たちの未来を埋める行為 であるのに。 
毎日毎日私があなたが砂利や土砂をあびせられ深い底へ と落とされるのだ。 
海はつながっている。あらゆる生命とつながっている。 それはむかしにつながっていた命があったこと、 
これから生まれてくる命ともつながるということに 蒙昧であってはならない。 
海の死はわたしたちの死なのだから。

SHINKAI  深解
直径600mm  2022年3月制作  キルト綿、発泡ウレタン、アートグルー、岩絵具、雲母
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