東北芸術工科大学卒業生支援プログラム「ARTLINKS2019」が2019年2月13日から3月8日まで開催されました。その中の一会場として銀座K’sギャラリーにて2019年2月18日から23日まで個展を行なうことができました。2月の寒空の中、足をお運びいただいた皆様、支えてくださった方々にあらためて感謝申し上げます。
今回は大きな展示室をお借りして、のびのびと展示させていただきました。今回の展示を素にまた新たなアイディアが生まれてきました。展開していこうと思っています。
やわらかな森をつくる
 いつからだろうか、世界中に纏わりはじめた「靄」のようなものは人の世を蝕みつつある。 人々が「分け隔てる」志向に傾倒し、差別や偏見、敵意、侮蔑等の感情の毒が連鎖的に広 がり否応になく吸う羽目になる。毒を吐いている自身も侵されていることに気付かないのが よりたちが悪い。平気で嘘をたれながし、ごまかし、埋めてなかったことにする。 正面から向き合うことをやめた大人達に未来を「そうぞう」することはできないだろう。 人種、国、民族、性別、障害に疾患等々、隔りを無くそうとする動きに反発して維持したい ものの動きが津波のように押し寄せる。平等に権利は拡大するはずなのに、特権にしがみ つき、手を伸ばす人々を蹴落としたいものたちがいる。諸行無常の世の中にただただ安心が 欲しくて、半径1mのmy世界から他者の足を引っ張り続けている。そんな人たちには鏡を プレゼントしたい。是非まずは自分との対話をおすすめしたいと思う。
 たちこめる「靄」を晴らすには個々の「想像力」を高めることが肝心なのだと思う。だから 昨今の教育で必要ないものとして縮小傾向にある「美術」や「音楽」はこの状況に抗い続け なければならない。教育の分野で「こころ」を育てることがあまりに放置されていないかと 思うことがある。とても人に教える立場では無いが絵描きの端くれとして、「同じでもいい、 違っててもいい」を許容できる世界をつくっていくにはどうすればよいか、表現を通して 模索し続けたいし、活動している人を応援していきたいと思っている。 海のもの、山のもの、陸のもの、すべての生命は循環の中にあり、等しく尊い存在である。 互いに響き合って生きている「命(ぬち)どぅ宝」なのだ。この世は人だけが生きているの ではない。そんなあたりまえを忘れてはいないだろうか。 
 自然の中に身をおいて感じる事 は、自然は常に懐深く何ものをも受け入れる余地を残していることだ。それが毒であったと しても、消滅、再生を繰り返しながら、自らを変化させることで受け入れてきた。 私たちもそれができるのではないか。乾いた心に鍬をいれ、感情を耕していこう。文学を受け入れ、知識を浴びよう。風にのってやってくる音達に酔いしれよう。他のものを受け入れるスキマが内なる森にあることは大切で、他者の森へ飛び込んでいく勇気もまた大事だと 思いつつ、後者は私も実践できていない。従来の鈍感力を発揮しどころなのだけど(苦笑)。 枝1本1本は細く弱くともしなやかさがあれば圧雪にも折れることはない、受け止めることもできる。 やわらかい森がひろがればより柔軟で寛容な未来をつくりだせるのではないだろうか。 
2019年2月某日                                                                                                                                        高田 陽子
■ギャラリー紹介
銀座K'sギャラリー 
住所:〒104-0061東京都中央区銀座1-13-4 大和銀座一ビル 6F    
ホームページ:http://ks-g.main.jp
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